英国の赤ちゃんビーバー、反差別の英雄の名に
「ラッシュフォード」に、人種差別に屈さない姿勢示す
英国で新たに生まれたビーバーの赤ちゃんの名前を公募したところ、サッカーのイングランド代表選手にあやかって「ラッシュフォード」と命名されることが決まった。11日のサッカー欧州選手権決勝でラッシュフォード選手(23)はPKを失敗。人種差別的な中傷の標的にされたが、毅然(きぜん)とした態度で反差別の英雄となった。
自然保護団体ナショナル・トラストが14日、ツイッターで4候補の中から名前を決める投票を実施した。「ラッシュフォード」は全体の49・9%の支持を獲得。正体不明の路上芸術家と同じ「バンクシー」が2位で、17・4%だった。
ビーバーは英国では16世紀に乱獲によって絶滅したが、最近になって再び導入する動きが始まった。南西部エクスムーアでは昨年1月にペアを放したところ、約400年ぶりにビーバーの赤ちゃんが誕生。ナショナル・トラストの責任者ベン・イードリー氏は「素晴らしい選択だ。この赤ちゃんは未来の世代への希望を与えてくれる」と語った。
イングランドは欧州選手権で主要大会では55年ぶりに決勝に進出。地元開催とあって国民の期待は高かったが、イタリアに惜敗した。黒人のラッシュフォード選手らに対する差別投稿が相次いだが、同選手は声明でPK失敗を謝罪した上で、「私が何者であるか、どこで生まれたかで謝るつもりはない」と差別に屈さない姿勢を示した。(ロンドン時事)