イングランド、サッカー快進撃で国中が大騒ぎ


マスクせず6万人超が観戦、状況の悪化を懸念する声も

イングランド、サッカー快進撃で国中が大騒ぎ

7日、ロンドン中心部トラファルガー広場で、サッカー欧州選手権準決勝のイングランド代表の活躍に歓喜するサポーター(AFP時事)

 英国で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、サッカー欧州選手権でイングランド代表が快進撃を続け、国中が大騒ぎとなっている。競技場だけでなく、各地のパブなどでも多くのファンがマスクを着用せずに応援歌を歌い、大声で叫び、抱き合って喜ぶ光景が見られている。

 7日にロンドンのウェンブリー競技場で行われた準決勝には、収容人数の75%に当たる約6万7500人が詰め掛けた。英政府は観客に陰性証明の提示を求めているが、マスク着用の義務はなし。イングランドが接戦の末にデンマークを下し、主要大会では55年ぶりに決勝に進出したことで、競技場ではコロナ流行前とほぼ変わらない光景が広がった。

 ロンドン中心部のトラファルガー広場やパブなどではパブリックビューイングも行われた。試合後には興奮したファンが2階建てバスの屋根に乗るなどして大騒ぎした。

 11日にはイタリアとの決勝戦が約6万7500人を集めてウェンブリーで開かれる。パブの業界団体「英ビール・パブ協会」は、この日だけで1300万杯(1杯=568ミリリットル)のビールが消費されると予測。スナク財務相も代表チームの躍進で「消費者心理が改善する」と述べ、経済効果に期待感を示した。

 ただ、英国ではインド由来のデルタ株が急速に広がり、1日当たりの新規感染者は3万人を超えている。英政府は「ワクチンの効果で死者数は低く抑えられている」と強調しているが、感染症の専門家からは状況の悪化を懸念する声も出ている。(ロンドン時事)