松坂大輔が今季限りで引退、復帰が見えず決意


「野球好き」松坂の無念、頸椎を手術も右手のしびれ続く

松坂大輔が今季限りで引退、復帰が見えず決意

松坂大輔投手(時事)

 近年は故障に苦しめられた松坂は、いつまでも野球少年だった。
 周囲に「辞めるってどんなことか」と聞いていた時期があると明かしつつ、「やっぱり野球が好き。辞めたらどうなんだろうと考えたことはあったけど、そう考えた日も、最後は好きという気持ちが上回るから続けてこられた」と話していた。

 米大リーグ、レッドソックス時代の2011年に右肘の靱帯(じんたい)再建手術、ソフトバンク在籍時の15年には右肩の関節唇などの手術を受けた。中日に移籍した18年に6勝を挙げてカムバック賞を受賞。度重なる故障を乗り越えてきたが、今回は引退を決断した。

 昨年、14年ぶりに古巣の西武に復帰。春季キャンプで力のある球を投げ、1軍マウンドで勇姿を披露する可能性もあった中、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が延期され、歯車が狂った。7月に頸椎(けいつい)の手術に踏み切ったが、日常生活にも支障が出るほどの右手のしびれに悩まされることになった。

 今季、2軍施設のブルペンで投球練習はしていたものの、本来の姿には程遠かった。球団関係者は「球が(良い時のように)投げられないことで決心したと思う。迷惑を掛けられないということではないか」と心中を察する。先の見えない日々が、引退へと気持ちを傾かせていったのだろう。

 プロ23年目。西武で再び登板できずに引退するのは無念だろうが、残したものは計り知れない。