世界1500社に被害、スーパーや幼稚園にも


米IT企業カセヤへのサイバー攻撃の被害が世界に広がる

世界1500社に被害、スーパーや幼稚園にも

サイバー攻撃の被害により、営業停止の張り紙を掲げるスウェーデンのスーパー大手「コープ」=3日、ストックホルム(AFP時事)

 7月に入って起きた米IT企業カセヤを標的とした身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」によるサイバー攻撃の被害が、世界規模で広がっている。ロイター通信によると、同社のボコラ最高経営責任者(CEO)は5日、正確に推計するのは困難だとした上で「世界全体で800~1500社」に被害が出たと明らかにした。

 被害を受けたのは、カセヤがITシステム管理ソフトを提供する少なくとも十数カ国の顧客企業や団体。AFP通信などによれば、スウェーデンのスーパー大手「コープ」は約800店舗が営業停止に追い込まれ、ニュージーランドでは学校や幼稚園が攻撃対象となった。

 複数の米メディアによると、ハッカー集団は盗み出した情報と引き換えに7000万ドル(約78億円)をカセヤに要求。ハッカー集団の代表者はその後、ロイターに「われわれは常に交渉の用意がある」と述べ、減額の可能性を示した。

 サイバーセキュリティー企業ESETは、今回の攻撃ではハッカー集団「Rイーブル」のランサムウエアが使われたと分析する。Rイーブルは、ブラジルの食肉加工世界最大手JBSの施設が狙われた5月のサイバー攻撃でも、関与が取り沙汰された。

 Rイーブルはロシアが拠点とされる。バイデン米大統領は、JBSへのサイバー攻撃に際し「ロシアに拠点を置く犯罪集団の仕業であり、プーチン政権には対応する責任がある」と主張していた。

 ただ、ロシア当局が今回の攻撃に関与した可能性について、バイデン氏は「初期の見解ではロシア政府(の仕業)ではないが、(実際は)分からない」と慎重な見方を示している。バイデン氏は先月のプーチン大統領との会談で、サイバー安全保障に関する専門家協議の立ち上げで合意しており、ロシア側に対応を求める可能性もある。(ワシントン時事)