デルタ株流行国を警戒へ、来日の選手団ら対象


出国前の7日間毎日検査を要求、感染拡大の懸念を払拭へ

デルタ株流行国を警戒へ、来日の選手団ら対象

日本航空の感染防止対策の視察で、出発ロビーを動きまわる遠隔操作の案内ロボットについて説明を聞く菅義偉首相(左から2人目)=28日午前、羽田空港(代表撮影・時事)

 政府は28日、東京五輪・パラリンピックで来日する選手団らを対象に、新型コロナウイルスの水際対策を強化すると発表した。インド由来のデルタ株の流行国・地域には、新たに出国前の7日間毎日、ウイルス検査を求めることなどが柱。大会を契機とする感染拡大への懸念を払拭(ふっしょく)したい考えだ。

 菅義偉首相は28日、羽田空港で水際対策などを視察した後、記者団に「五輪・パラリンピックに向け、さらに徹底して対策を行うよう指示した」と語った。

 この後、加藤勝信官房長官は記者会見で、デルタ株の指定国・地域からの入国者への追加措置として、「出国前7日間」「入国後14日間または大会出場まで毎日」の検査を求める方針を明らかにした。加藤氏は「アスリートのコンディション調整に不公平が生じないよう、準備を着実に進めていく」と述べた。

 今回、対策強化の対象国として想定しているのは、インド、ネパール、パキスタンなど。選手らの来日が本格化する前に対応を急ぐ。今後、東京大会の感染対策をまとめたプレーブック(規則集)に速やかに反映する方向だ。

 プレーブックは現在、来日する全ての選手らに、①入国前2回②入国時1回③入国後は毎日-の検査を義務付けている。また、入国後の外出先も限定し、日本国内で一般住民との接触機会を極力減らすとしている。

 先に入国した東アフリカ・ウガンダ選手団のうち1人が、空港のウイルス検査で陽性だったことが判明。さらに、残りの選手団全員が合宿地の大阪府泉佐野市に移動した後、濃厚接触者に特定される「時差」が生じたこともあり、対策が徹底されていないとの批判が出ていた。