前検事総長、29日に韓国大統領選へ出馬表明


保守系最有力候補の尹錫悦氏、文政権の検察改革に抵抗

前検事総長、29日に韓国大統領選へ出馬表明

韓国の尹錫悦前検事総長=2019年7月、ソウル(EPA時事)

 来年3月の韓国大統領選で保守系の最有力候補と目される尹錫悦前検事総長は24日、スポークスマンを通じ「29日、国民の皆さんに私が今後歩む道について申し上げる」と明らかにした。今年3月の検事総長辞任後、大統領選への考えを公にしてこなかったが、出馬を表明する見通しだ。

 尹氏は文在寅大統領から検事総長に任命されたが、文政権が進める検察の権限縮小を柱とする検察改革に抵抗し、「反政権」の象徴となった。24日に世論調査機関「リアルメーター」が発表した大統領候補の支持率は、尹氏が32・3%のトップで、2位は与党「共に民主党」の李在明・京畿道知事の22・8%。保守系で続くのは4位の洪準杓・元ハンナラ党(最大野党「国民の力」の前身)代表だが、4・1%にとどまる。

 ここに来て、尹氏や妻、義母の不正疑惑を記した「Xファイル」と呼ばれる怪文書が出回り、政界を揺るがせている。尹氏は「出所不明の怪文書による政治工作」と反発しているが、出馬表明すれば追及の本格化は必至。保守陣営では原発をめぐり政権と対立した崔在亨監査院長らに期待する声も浮上している。

 政治経験、組織力のなさを補うには国民の力に入る方が有利で、国民の力も党予備選に参加するよう呼び掛けている。ただ、尹氏は中道層や文政権に失望した革新層の一部にも支持を広げたい意向とされ、入党するか考えを示していない。

 出馬表明は1932年に上海で天長節爆弾事件を起こした抗日運動家、尹奉吉の記念館(ソウル)で行う。尹氏側は「尹奉吉義士の崇高な愛国精神をたたえる所だ。先祖が命をささげてつくった韓国の建国の土台である憲法精神を受け継ぐ意志を示す」と説明している。(ソウル時事)