ゲノムを比較検討、スーダンのスイカが祖先か


国際チームが発表、果肉は白くて甘くないが病害虫に強い

ゲノムを比較検討、スーダンのスイカが祖先か

アフリカ北東部スーダン・コルドファン地方のスイカ。現在主流の栽培品種の祖先である可能性が高いと分かった(米ボイス・トンプソン研究・時事)

 世界各地で栽培されるさまざまな品種のスイカの祖先は、アフリカ北東部スーダンのコルドファン地方のスイカである可能性が高いと、ドイツ・ミュンヘン大や米ボイス・トンプソン研究所などの国際研究チームが2日までに発表した。全遺伝情報(ゲノム)を比較解析した成果で、論文は米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 果肉は白っぽく、現在主流の品種より甘くないが、病害虫に強い遺伝子群がある。交配するか、最新の遺伝子操作技術であるゲノム編集で取り入れれば、農薬の使用量を減らせるという。

 スイカの原産地はアフリカと考えられてきたが、どの地域かをめぐっては、種や亜種の分類方法の違いなどにより、南部や西部との見方もあった。研究チームの解析では、現在主流の栽培品種はウリ科スイカ属のうちラナツス種ブルガリス亜種で、祖先とみられるコルドファン地方のスイカはコルドファヌス亜種とされた。

 ウリ科の野生種は苦く、生で食べられないことが多いが、コルドファヌス亜種は苦味成分がないことが遺伝子解析で裏付けられた。古代エジプトの壁画からは4200年以上前に甘いデザートとして食べられるようになったとみられ、その後の改良でより甘く、果肉が赤い品種が主流になったと考えられる。