厚労相が謝罪、国と原告団が和解合意書を締結
建設石綿訴訟で最大1300万円支払い、原告以外も救済へ
建設アスベスト(石綿)訴訟の判決で国の責任を認める司法判断が確定したことを受け、厚生労働省と原告団らは18日、与党のプロジェクトチーム(PT)がまとめた救済策に基づき、和解に向けた基本合意書を締結した。原告1人当たり最大1300万円の和解金を支払うことが柱で、原告以外の被害者救済のため基金も設ける。
18日夕に行われた調印式では、田村憲久厚生労働相や東京訴訟原告団長の宮島和男さん(91)らが出席。田村厚労相は改めて謝罪した上で「基本合意書の実現へ向け最大限力を尽くしたい」と述べた。東京訴訟の小野寺利孝弁護団長は「アスベスト被害者の全面救済へ向け、(国と)共に働く関係になった。深い感動を持って受け止めている」と強調した。
基本合意書では、原告の元労働者や遺族に対し、症状などに応じて国が和解金を支給。中皮腫や肺がんなどの重い疾患で死亡した場合は最大1300万円が支払われる。長年の訴訟に掛かった費用として解決金も支払う。
また、未提訴の人や今後発症する被害者らに給付金を支給するための基金を創設。今後も補償の在り方などで国と原告側が協議を続けていくことも盛り込まれた。
被害者らの高齢化を考慮し、早期解決を目指して2月に発足した与党PTは、今月17日の最高裁判決を受けて救済策を最終決定した。原告側が求めている建材メーカーも加えた補償制度については、結論が先送りされた。
最高裁は、建設現場で石綿を吸い込み健康被害を受けたとして元労働者と遺族らが起こした4件の集団訴訟で、国と一部メーカーの賠償責任を認定。個人事業主の「一人親方」も救済対象となった。