英国で社会問題化、コロナ禍でペット泥棒が急増


転売事例急増で政府が対策へ、1日当たり7匹の犬が盗難

英国で社会問題化、コロナ禍でペット泥棒が急増

公園を散歩する犬=4月29日、ロンドン(EPA時事)

 英国で昨年以降、ペットが盗まれる事件が多発している。「家族の一員」と引き裂かれた飼い主の衝撃は大きく、社会問題化。英政府は8日、この対策に本腰を入れるため、警察や司法当局、専門家などで構成するタスクフォースを新たに立ち上げると発表した。

 ペット泥棒は2020年3月に新型コロナウイルス流行に伴う最初のロックダウン(都市封鎖)が導入されてから急増した。動物愛護団体ブルークロスによると、犬の盗難事件は20年に前年比2・7倍となり、1日当たり7匹の犬が盗まれたという。

 背景には、都市封鎖でペット需要が高まったことがある。英国で最も人気のある五つの犬種の価格は、封鎖期間中に最大89%上昇。20年3~8月の間に「子犬を飼う」とグーグルで検索された回数も約2・7倍となった。

 英政府はペットを盗んで高値で転売する事例が増えているとみて、取り締まりを強化する方針。ユースティス環境・食料・農村相は「ペットは家族の一員であり、盗難はすべての飼い主にとって苦痛だ。この問題を徹底的に調査し、犯罪を必ず阻止する」と語った。

 英国では1968年に制定された法律で、ペット泥棒は最高刑で懲役7年となっているが、今後は厳罰化など「あらゆる手段を検討する」という。ペットの受難をめぐっては、米国でも今年2月に人気歌手レディー・ガガさんの愛犬2匹がハリウッドの路上で奪われる事件が起きた。(ロンドン時事)