全国高校サッカー、富山第一が執念の逆転


「県産」チームで日本一

全国高校サッカー、富山第一が執念の逆転

星稜戦の延長後半、決勝ゴールを決める富山第一の村井(右)=13日、東京・国立競技場

 攻めても攻めてもゴールを奪えず、PKとカウンターで2失点。敗色濃厚だった富山第一が大逆転を演じた。土壇場で追い付き、延長後半終了間際に決勝点。隣県の星稜を下し、初の栄冠を力ずくでもぎ取った。

 俊足のエース渡辺は星稜にマンマークを受けたが、左の野沢、右の西村が次々とサイドをえぐり、序盤からひたすら攻め続けた。だが、中央をしっかりと固めた星稜の守りは堅い。ここまで無失点で勝ち上がってきただけのことはあった。

 残り時間は刻々と少なくなっていく。だが、DF竹沢は虎視眈々(たんたん)と機会を狙っていた。「2-0で勝っている時は一番危ない。逆に0-2からなら、同点に持って行ける」。後半42分、竹沢は村井へ縦パスを通し、クロスを高浪が決めて1点差。ロスタイムには竹沢が倒されてPKを獲得した。落ち着いて決めたのは、監督の次男でもある大塚主将。「きょうは決める予感がした。最高の親孝行ができた」と喜びを爆発させた。

 登録メンバーのほとんどが富山県出身で、全員が親元から通学。大塚監督は各地から選手を集める強豪校に対抗心を燃やし、「田舎の選手でここまでやれた。日本の育成も変わるのでは」と話す。「県産」でつくりあげた価値ある高校日本一。北陸勢初の快挙は、ひと味違った。