「争いの芽摘む努力を」 皇后陛下、80歳に


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天皇陛下と共に80歳の誕生日を迎えられた皇后陛下=1日、皇居・宮殿(宮内庁提供)

 皇后陛下は20日、80歳の傘寿を迎えられた。これに先立ち、宮内記者会の質問に文書で御回答。「(天皇陛下が)時に厳しく、しかしどのような時にも寛容に導いて下さり、私が今日まで来られたのは、このお蔭であったと思います」と振り返られた。

 来年は戦後70年を迎える。皇后陛下は「世界のいさかいの多くが、何らかの報復という形をとってくり返し行われて来た中で、わが国の遺族会が、一貫して平和で戦争のない世界を願って活動を続けて来たことを尊く思っています」と言及された。

 その上で、「平和の恩恵に与(あずか)っている私たち皆が、絶えず平和を志向し、国内外を問わず、争いや苦しみの芽となるものを摘み続ける努力を積み重ねていくことが大切ではないか」と御指摘。「来年は、大勢の人たちの戦中戦後に思いを致す年になろうと思います」と述べられた。

 皇后陛下にとっての芸術や文化の意味を尋ねた質問では、幼少時に両親が芸術に親しんでいる姿を見たことで「私も少しずつ文学や芸術に触れたいという気持ちになったよう記憶いたします」と御述懐。訪問先のタンザニアで「国民の間に格差が生じるより、皆して少しずつ豊かになっていきたい」という言葉を聞いたことを紹介し、「胸が熱くなるような感動を忘れません」とつづられた。

 各地で起きた集中豪雨や御嶽山の噴火にも触れ、「犠牲者の冥福を祈り、遺族の方々の深い悲しみと、未だ、行方の分からぬ犠牲者の身内の方々の心労をお察しいたします」と気遣われた。