立皇嗣の礼 心よりお祝い申し上げます


 秋篠宮殿下が皇位継承順位第1位の皇嗣となられたことを内外に披露する「立皇嗣の礼」がきょう皇居で行われる。当初は4月19日の予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となっていた。困難な中でも、殿下がこの日を迎えられたことをお祝いし、お喜びしたい。

皇統が続くことを示す

 立皇嗣の礼は、天皇陛下の御即位に伴う一連の儀式を締めくくるものである。皇嗣は皇太子と同等のお立場であり、わが国の皇統がこれからも続いていくことを示す、おめでたく意義深い儀式である。

 秋篠宮殿下が皇嗣となられたことを天皇陛下が宣言される「立皇嗣宣明の儀」が中心儀式で、宮殿「松の間」に天皇、皇后両陛下、秋篠宮殿下御夫妻ら皇族方のほか、三権の長ら約50人が参列する。続いて「鳳凰の間」で、守り刀「壺切御剣」を陛下が秋篠宮殿下に渡される。

 儀式・行事の内容は前回平成時の「立太子の礼」を踏襲するが、新型コロナ対策のため「立皇嗣宣明の儀」の人数は、当初より大幅に減らされた。また「宮中饗宴の儀」は行わず、伊勢神宮などへの参拝も当面延期される。これら歴史的な行事が控えめに行われるのは、やむを得ないとはいえ、まことに残念だ。

 しかし殿下には、それらを補うわれわれ国民の心からの祝意をお受け取りいただきたい。

 秋篠宮殿下は1965年11月30日、上皇(当時皇太子)陛下御夫妻の次男として誕生された。幼稚園から大学まで学習院に通われ、88年に法学部政治学科を御卒業。同年から2年間留学された英オックスフォード大学では動物学科で学ばれた。魚類や家禽類の研究者としても知られ、山階鳥類研究所の総裁は30年以上務めておられる。

 90年に紀子殿下と御結婚され、秋篠宮家を創設。長女・眞子殿下、次女・佳子殿下、長男の悠仁殿下の3人のお子様をもうけられた。

 2019年5月、天皇陛下御即位を受け皇嗣となられてからは、天皇陛下から引き継がれた多くの御公務に取り組まれている。地方公務では皇太子時代に天皇、皇后両陛下が御出席になった「七大行啓」の大半を継承され、紀子殿下とともに地方へお出ましになっている。

 新型コロナの影響で多くの行事が中止や延期となる中、福井市で開かれた全国「みどりの愛護」のつどいの式典にビデオでメッセージを寄せられた。また新型コロナの最前線で戦う医療従事者のため、御一家と職員手作りの医療用ガウンを恩賜財団済生会に寄贈された。新型コロナが収束し、殿下御夫妻と国民が直接交流できる機会が早く訪れることを願ってやまない。

男系継承の維持は当然

 国会は2017年に天皇退位特例法が成立した際、付帯決議で皇位の安定的継承策を速やかに検討するよう求めた。菅義偉首相は安倍晋三前政権の方針を踏襲し、男系維持を前提としている。国会答弁でも「男系継承が古来例外なく維持されてきた重み」に言及している。

 首相交代で変化を期待する向きもあったようだが、皇統の伝統は長い歴史を持つ。菅首相の答弁は当然のものである。