子宮頸がんワクチン調査 副反応疑い、1割が未回復


厚労省、勧奨中止を維持

 子宮頸がんワクチン接種後に全身の痛みなどを訴える女性が相次いでいる問題で、厚生労働省は17日、有識者検討会を開いた。副反応の疑いがあると報告された2584人(被接種者約338万人の0・08%)のうち、発症日などが把握できた1739人を追跡調査し、全体の10・7%に当たる186人が未回復だったことが報告された。

 検討会は調査結果について議論したが、副反応は接種時の痛みなどをきっかけに症状が表れる「心身の反応」「機能性身体症状」とする従来の見解を変えなかった。一方、中止している接種勧奨の再開については継続審議とし引き続き控える。今後、ワクチンを打っていない女性に同様の症状が出ているかを調べ、症状がワクチン成分によるものか検証する。

 追跡調査は、ワクチンが発売された2009年から14年11月までに副反応の疑いがあると報告された人が対象で、主に医師に調査票への記入を求める形で実施。1739人のうち1550人は回復または通院不要の状態にまで改善したが、186人は頭痛や倦怠感、接種部以外での疼痛、筋力低下などの症状が回復していなかった。このうち二つ以上の症状を訴える人が118人もいた。

 また未回復の186人の生活状況は、入院した期間ありが87人、日常生活に介助を要した期間ありが63人、通学・通勤に支障を生じた期間ありが135人だった。

 厚労省は13年6月に接種勧奨を中止。検討会は14年1月の会議で、広範な痛みか運動障害を訴えている176人を検討し「心身の反応」と判断した。しかし、患者団体などから調査が不十分などとの批判が上がり、追跡調査を行っていた。