子宮頸がんワクチン副作用 厚労省、定期接種前の救済拡大
子宮頸(けい)がんワクチンの接種を受けた女性が副作用とみられる健康被害を訴えている問題で、厚生労働省は4日までに、法律に基づく定期接種となる前に接種を受けた人について、定期接種と同水準の医療費などを支給する方針を固めた。これまでに報告された健康被害は約2600例に上るが、大半が定期接種前のため、救済策の拡大が必要と判断した。
子宮頸がんワクチンについて、国は2010年11月から接種の公費助成を開始。13年4月に予防接種法に基づく定期接種となったが、接種後に全身の痛みなどを訴える報告が相次ぎ、同省は同6月から接種の勧奨を中止している。
ワクチン接種で健康被害が生じた場合、定期接種では入院、通院を問わず、医療費の自己負担分が支給され、一定額の医療手当も支給される。しかし定期接種前の場合は、入院相当のケースしか医療費は負担されず、手当も支給されない。
厚労省は、接種を受けた時期によって救済水準が異なる現行制度について改善の必要があると判断。支給する費用や手当の水準を定期接種にそろえ、接種時期で生じる差を解消することにした。
救済が認められるには、厚労省の審査で接種との因果関係が「否定できない」と判定されなければならない。現在の判定基準について、同省幹部は「国際的に見ればストライクゾーンが広い」としており、見直しは行わないという。
(時事)