「正確なデメリット情報提供求める請願書」可決


山梨県で初、上野原市議会

 山梨県の上野原市議会は30日、子宮頸がんワクチンの接種による副反応被害者が多数出ていることを考慮し、「市民に対して重篤な副反応などのデメリットについても十分に正確な情報を分かりやすく広く伝えることを求める請願書」を全会一致で可決した。山梨県で同ワクチンによる重篤副反応を懸念した請願書が可決されたのは初めて。

 請願書は、同ワクチン接種が公衆衛生促進のための有益な予防接種事業であることを疑問視するとともに、「子宮頸がんワクチンについては、現在のみならず将来にわたって子供たちに健康被害の生じることが懸念される」としている。

 一方、子宮頸がん検診対策の充実を促し、子宮頸がんワクチン接種事業の見直しを求める意見書を国に提出するよう求める請願書は、公明党などの反対で否決された。

 同請願書の紹介議員である氏家隆信市議が賛成討論に立ち、「4月に定期接種化してからわずか2カ月半で厚労省が接種の積極的勧奨を中止したのは、子供たちへの健康被害が深刻だからだ。重篤な被害者は、治療の見通しが立たず、今も苦しんでいる。誰に副反応が出るか分からないロシアンルーレットのようなものを子供たちに打たせられない」と訴えた。

 これに対して公明党の久島博道市議は、「賛否を判断する上で、疫学的に公平な資料を整えることが重要」として、厚労省が当初発表していた重篤副反応件数を低く抑えた数字を引用するとともに、世界保健機関(WHO)が行った外国での調査結果や、日本産科婦人科学会などが厚労相に同ワクチンの積極的勧奨の再開を求めたことを紹介。現実に副反応に苦しむ犠牲者の声より、役所やワクチン接種を推進する団体の意見を代弁した。なお、江口英雄市長は、同市議会での氏家市議の一般質問に対し、医師である立場から「厚労省は日本人に合うワクチンが作られるまでは接種を控えるべきだ」と述べていた。