「AIと日本人」をテーマにした月刊誌「文藝…


 「AIと日本人」をテーマにした月刊誌「文藝春秋」3月号の鼎談(ていだん)で、松尾豊・東京大特任准教授は「中国やロシアのような体制の国々とAIは、実は、異常に相性がいいんですよ」と話している。

 また井上智洋・駒澤大准教授は、中国で顔認証技術が犯歴データと照合して犯罪者を摘発する社会管理システムの開発が急激に進んでいることで「(前略)犯罪も減っていく。ある種のユートピアが実現するかもしれない」と強烈な皮肉を交えている。

 また自動運転技術やサービスを丸ごと都市に取り入れる中国の自動運転シティー構想とその建設ぶりにも驚かされる。自動運転技術の開発では、日本などは訴訟沙汰になりかねない試験中の事故発生に戦々恐々だが、中国では国家主導のプロジェクトで萎縮も無用。

 マルクス主義は、他を空想的社会主義とし、自らの理論を「科学性」を備えたものとして科学的社会主義と自称した。特に自然科学が発達した20世紀には、西側諸国に対抗し、自然科学の力を至高とした旧ソ連の顕著な軍事開発があった。

 その衣鉢を継いだ中国の自然科学の力への執心もすさまじい。独裁体制と科学技術開発はよほど親和性が高いのだろう。

 科学技術立国を標榜(ひょうぼう)する日本の研究開発費は、2009年に中国に抜かれ、世界3位。AI技術を輸入する時代がやがてやって来ると指摘する識者もいる。“科学的社会主義”をくじく「自由と民主主義」の方策が要る。