都内のホテルで、俳人協会による「新年の…


 都内のホテルで、俳人協会による「新年の集い」が開かれた。これは協会員を対象とする第25回俳句大賞と第2回新鋭俳句賞の表彰式を中心とした行事で、新年を飾るにはふさわしい会だ。

 6581句の応募の中から俳句大賞に選ばれたのは、掛井広通さんの句「紙漉の水の表を使ひけり」。静岡県在住で「くぢら」同人。選考委員長の今瀬剛一さんは「実力そのもの。紙漉の真実を捉えている」と評した。

 準賞は村上尚子さんの「白鳥と同じ光の中にをり」と片方みち子さんの「えご散るやきのふの白へけふの白」、プラチナ賞には山田実さんの「伊吹嶺は雲湧くところお花畑」、新鋭俳句賞には町田無鹿さんの句集『生家』がそれぞれ選ばれた。

 会員たちの関心を集めたのは、大串章会長があいさつで「若い人たちによる評論が目に見えて少なくなっている」と報告したことだ。今回、新鋭評論賞には応募がなかった。

 50歳未満の会員が対象だが、大串さんは「今後、評論部門の活性化を図っていかないといけない」と課題を挙げる。この問題に顧問の有馬朗人さんも「若手から俳句評論が少なくなっているのは驚くことではない」と触れた。

 少子化で若い世代の人口が減少しているからだ。大学で提出される論文数は平成10年に世界2位を誇ったが、現在は5位に転落。これは教育や文化に費やされる国費の減少と並行しているという。少子化は学術文化の面でも大きな影を落としている。