東京の上智大四谷キャンパスにある6号館…
東京の上智大四谷キャンパスにある6号館1階展示コーナーで企画展「キリシタンの世紀」が開催されている。今年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に登録されたことを受けて企画。
同大キリシタン文庫が所蔵する資料7点のレプリカだ。その一つ、天正遣欧少年使節が謁見(えっけん)した教皇グレゴリウス13世の肖像は、濃い眉、豊かな髭(ひげ)、しっかりした鼻梁(びりょう)で、威厳が感じられる。
周囲に描かれているのは、彼が世界中に建てたセミナリオ。数えてみると約30あった。各地に教育の拠点をつくった大きな力を感じさせる。謁見する少年使節たちの姿も描かれている。
ヴァリニャーノ巡察師がもたらした日本初の金属活字印刷機により、イエズス会の出版所で刊行された書籍類もあった。『サカラメンタ提要』は2色刷りで、ラテン語による儀礼書。
1605年に長崎で印刷され、開かれたページにはグレゴリオ聖歌の楽譜が記述されている。葬式と司教の教会訪問用の聖歌だそうだ。日本では葬式を荘厳にする風習があって、信者の指導のために利用したらしい。
皆川達夫著『オラシヨ紀行』(日本キリスト教団出版局)によると、セミナリオでは毎日音楽の稽古があって、ビオラ、フルート、リュート、オルガンなどが使われた。少年使節たちは帰国後、西洋音楽にはハーモニーがあり、日本の音楽にはそれがないと報告。東西の出会いには想像をかき立てるものがある。