黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅(富山県黒部市)…
黒部峡谷鉄道の終点、欅平駅(富山県黒部市)と黒部ダム(立山町)を結ぶ関西電力の工事用資材の輸送路「黒部ルート」(約18㌔)が、2024年度をめどに一般開放されることになった。
発電設備の保守や工事に使われるルートで、普段は作業員しか通行できない。かつては完全非公開だったが、1996年から「黒部ルート見学会」という形で公募による限定公開をしていた。
その見学会では、資材運搬用のトロッコ列車などを乗り継ぎ、黒部ダム建設当時の面影を残す岩肌がむき出しの内部や水力発電所を見ることができる。このため、見学要望が多かった。今回、関電が安全対策工事を施した後に観光ルートとなる。
富山県も「一般開放は長年の夢で、立山黒部地域のブランド化を進めたい」(石井隆一知事)と期待を高めている。今日、わが国ではインフラ施設や工事現場などが観光地となることが珍しくなくなった。
このほか、工場の見学受け入れなども当の企業のPRを兼ねて積極的に行われている。トヨタ自動車の工場を見学する外国人観光客も少なくない。従来、生産現場の工場や機械は、都会生活の中の異物として近づけない雰囲気だったが、すっかり様変わりした。
ところが、全国の原発は岬の端など辺鄙(へんぴ)な場所にある。それで暗いイメージが漂っているが、これではいけない。もっと頻繁に見学会を開けば、技術の素晴らしさを知ろうと多くの人が集まってくるだろう。