ビルのシンクタンク「都市戦略研究所」が…


 森ビルのシンクタンク「都市戦略研究所」が発表した2018年の「世界の都市総合力ランキング」で東京が3年連続3位を保った。しかし、1位のロンドン、2位のニューヨークとの差は広がり、課題も明らかとなった。

 ランキングは「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野で採点。「居住」分野は14位から9位に上げたが、「環境」では12位から29位に落ちた。総合4位のパリが「文化・交流」で大きく伸び、東京に迫っている。

 ロンドンには歴史・伝統への接触機会や外国人の居住者数などで大きく後れを取った。確かに、このような機会が少ないことは認めざるを得ない。ロンドンも先の大戦で空襲を受けたが、ビッグ・ベンで有名な国会議事堂など古い建物、歴史的建造物は再建されるなどして今も現役のものが多い。

 壊滅的な空襲被害を受け、焼け野原となった東京だが、江戸時代からの古い文化はあちこちに残っている。ただ、そういうものと接するにはお金がかかる。美術館・博物館もほとんど有料だ。

 それに比べ、世界中の美術品や骨董品を集めたロンドンの大英博物館は無料。江戸東京博物館の常設展示くらいは無料にならないものかと思う。

 「ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ。ロンドンには人生が与え得るもののすべてがあるから」。18世紀英国文壇の大御所サミュエル・ジョンソン博士の言葉は、今も生きているようである。