東京の葛飾区とオーストリアのウィーン市…


 東京の葛飾区とオーストリアのウィーン市フロリズドルフ区は友好都市。今年で31年目だが、葛飾区には「柴又フロリズ通り」が生まれ、フロリズドルフ区には「葛飾通り」や「寅さん公園」ができた。

 7月には葛飾区から柴又フロリズ通りフェスティバル実行委員会の人々がフロリズドルフ区を訪問し、交流を深めた。友好都市のきっかけは松竹映画「男はつらいよ」の第41作でウィーンを舞台にしたこと。

 交流が深まると葛飾区の人々もウィーン文化に親しむ機会が非常に多くなった。その一つが先週、かつしかシンフォニーヒルズで開かれた「ウィーンのいざないⅢ」と題するコンサート。

 ウィーンゆかりのオペレッタやピアノ曲、ヴァイオリン曲が披露された。東京の下町の人々にもその音楽を身近なものにしてもらおうと、出演者らによる芝居のようなコントがあって楽しかった。

 カツラをかぶってフロックコート姿で登場したモーツァルト役はピアノの原佳大さん、ベートーベン役はヴァイオリンの三上亮さん、ブルックナー役はピアノの安藤由布樹さんで、世間話のように音楽の背景を語る。

 葛飾区民もウィーンの市民になったような気分だ。オペレッタで“音楽の都”ウィーンの素晴らしさを伝えたのは、ソプラノの家田紀子さんとテノールの佐藤一昭さん。「ウィーンわが夢の都」を観客みんなが歌い、その街を実感する。芸術の世界では、今や境界線が消滅している。