空飛ぶじゅうたんならぬ空飛ぶ自動車が日本…


 空飛ぶじゅうたんならぬ空飛ぶ自動車が日本でも開発されることになった。空飛ぶ自動車は今のところ、電動のプロペラで垂直に離着陸ができる機体のことを指し、ふわふわと浮き上がる様子は車というよりはヘリコプターやドローンに近いイメージだ。

 トヨタなどメーカー大手が乗り出すのは、せめぎ合う世界の自動車各社の中で製品開発で一歩でも先んじたいという思惑があるから。電気自動車、ハイブリッドカー……などの開発競争の一環でもある。

 希少金属の半導体への応用などによって、車体の軽量化や機能化が進んでいる。今後10年ぐらいで、鳥のように軽やかなブルーバードが生まれるかもしれない。政府も実用化を目指して官民協議会を設立し、年内に技術開発などの目標時期を盛り込んだ工程表を取りまとめる方針だ。

 その一方で「いやいや、そううまくはいくまい」という声もある。交通体系の整備に相当の時間を要するから実際の運用は短期間ではできない、そもそも需要は大きくないのではないか、というのである。

 加えて、「走る」と「飛ぶ」の単なる組み合わせは安直なアイデアで、そこから社会生活を発展させるような乗り物は出てこないという意見も少なくない。

 技術革新と家庭・社会生活の調和をめぐっては、2050年ごろに一つの飽和点を迎えるという説がある。「便利」が過ぎると人間の怠惰心が強くなるということか。空飛ぶ自動車の場合はどうだろう。