中央省庁全体で障害者の雇用数を、実際より…


 中央省庁全体で障害者の雇用数を、実際より3460人多く計上していたことが分かった。その水増し分を修正すると、職員全体に占める障害者の割合は1・19%と法定雇用率(2・3%)を大きく下回っていたという。

 企業に厳しく法の順守を求めながら、手本となるべき中央省庁がこの体たらくでは話にならない。障害者雇用の趣旨に沿うよう現実的な受け入れ体制を早急に整えるべきだ。

 障害者は健常者とは違う。職場環境に配慮が要るのは当然で、例えば、知的障害を持つ人たちは彼らなりの特性がある。人と接するのは苦手だが物覚えは早い、力はないが仕上げは丁寧など、知的障害者一人ひとりに合った職種をマッチングさせることが大事だ。

 この点、多くの企業では、障害者雇用でさまざまな苦心を重ね、今日では「障害者は貴重な労働力だ」という認識をさえ生み出している。障害者でないとできないという生産部署を持つ一般企業も出ている。

 経済的効率や生産性を追求しないで済むお役所で、なぜ障害者雇用がうまくいかないのかと思う。多種多様な人間が集まって物を作ったり、一つの目標を達成したりするという連帯意識が乏しいためだろうか。

 開催まで2年を切った東京五輪・パラリンピックのメッセージは「みんなの輝き、つなげていこう。」で、補足として英語「Unity in Diversity」を掲げる。障害者雇用で露呈した中央官庁の鈍感さが大いに気になる。