台風12号は東から西へと異例のコースをたどった…
台風12号は東から西へと異例のコースをたどった。このため、これまで台風による被害が少なかった地域にも影響が及んだ。あまり聞きたくない言葉だが、わが国は「災害列島」の様相を帯びている。
今回の台風で、気象庁は「大雨特別警報」について、発表された時には、もう逃げることができないような危険な状況になっている可能性が高いとして、特別警報を待たずに早めに避難をするよう呼び掛けた。
先の西日本豪雨で逃げ遅れて命を落とした人が少なくなかったためだが、住民に避難を促す上で行政にも考慮の余地があるということでもある。
また土砂災害防止法改正により、市町村は遅滞なく的確に避難勧告、指示を出すことを、これまで以上に求められるようになった。気象庁や都道府県が警戒情報を市町村に伝え、市町村は危険地区を選定して避難勧告を出し、基準に達すれば避難指示を発令する。
ところが西日本豪雨では、避難情報が夜中に突然出たため、うまく対応できなかったという地域もあった。役所の職員に気象専門家がおらず、危険な地区の選別が適切でなかったことなど、避難情報を出す側にも課題が多かった。
平成25年の防災白書には「国土強靱化の推進」が盛り込まれて「人命は何としても守り抜く」などが掲げられた。住宅や公共施設など建造物の強化は大切だが、的確な避難指示や勧告の出し方、自主的避難の在り方の重要性が浮き彫りになっている。