昨日の本紙1面に掲載されたように、北朝鮮に…
昨日の本紙1面に掲載されたように、北朝鮮による拉致被害者家族会などは都内で「政府に今年中の全被害者救出を再度求める国民大集会」を開いた。27日に行われる南北首脳会談や6月初旬までに予定される米朝首脳会談は、拉致被害者全員の即時一括救出につなげる大きな機会である。
集会で安倍晋三首相は、先の訪米でトランプ米大統領から「米朝首脳会談で拉致問題を提起する。日本のために最善となるよう、ベストを尽くす」と確約されたことを報告した。
これはいわゆる外交辞令でない。トランプ大統領は昨年9月の国連演説で被害者の一人の少女として横田めぐみさんに言及したほか、11月の来日時には家族会ら関係者と面会し尽力を約束した。問題解決への強い関心を寄せてきたのだ。
ただ米朝会談の核心は北朝鮮の非核化、ミサイル開発の放棄だという国際政治の冷厳な現実も一方にはある。他人任せでは拉致問題の解決はない。それを踏まえ、日本にできる努力は何か。
まず被害者の全員帰国実現まで、北朝鮮に制裁圧力をかけ続ける姿勢を緩めてはならないことだ。国連など国際機関の会合や日中韓首脳会談など、あらゆる機会を捉えて解決への問題提起をすることも重要である。
私たち国民も、拉致問題への強い関心を持ち続けなければならない。マザー・テレサは愛の対極にあるのは「無関心です」と人々を諭した。今こそこの言葉が持つ深い意義を実践すべき時である。