東京地方ではきのう、桜の開花が発表され…


 東京地方ではきのう、桜の開花が発表され、見ごろは24日から月末にかけてとなる予想だという。平年よりもかなり早い。

 開花が早まったのは、この冬の厳しい寒さで花芽が成長しやすい状態になり、3月にかなり暖かい日が続いたことで成長が促進されたからのようだ。天気は人工的にコントロールできないので、開花時期が毎年変わるのは仕方がないが、今年は急に早まったので気持ちが追い付いていかない。

 やはり春を一番実感できるのは、桜の花見である。その意味で、早く花見ができるのは歓迎したいが、それだけ落花の方も早いということである。

 自然の豊かな地方に比べ、都会では季節の移ろいや変わり目は分かりにくい。チョウチョやトンボ、カエルやヘビなどを見掛けることもほとんどない。

 俳句には春を彩る動植物の季語が数多くあるが、その中でも気になるのが、難しい漢字で書かれた「啓蟄(けいちつ)」。ほかの季語に比べ、とっつきにくいイメージがあった。稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には「土中にじっと冬眠していた蟻、地虫、蛇、蜥蜴、蛙の類が、春暖の候になって穴を出て来ること」をいうとある。

 この季語を思い出したのは、住宅街を歩いていた時、泥まみれの少し大きいカエルが日向(ひなた)ぼっこをしているのに遭遇したからである。禅僧のように半眼になってじっとしている姿を見て驚いたが、いったいどこから這(は)い出て来たのだろうか。実に不思議である。