東京・銀座にある中央区立泰明小学校が、…
東京・銀座にある中央区立泰明小学校が、高級ブランド「アルマーニ」デザインの制服を今春から導入する。8万円もするというので、保護者からは「負担が増える」「十分な説明がなかった」などと苦情が出ているという。
導入を決めた理由を和田利次校長は「銀座の街にある学校として、子供たちに誇りを持って育ってもらいたい」などと言っているが、高級ブランドの制服がどうして誇りにつながるのか。
泰明小学校は明治11年の創立で、島崎藤村、近衛文麿らが卒業した学校として知られる。銀座の天ぷら屋「天金」に生まれ、銀座で育った国文学者・故池田弥三郎も卒業生だ。銀座をテーマにした随筆をたくさん残している。
その一つ「消えてゆく銀座」では、関東大震災や空襲後の復興期、古い住人が追われ、新入りがひと旗上げる「功名の町」「軽薄な町」と土地っ子ならではのクールな見方も示している。外国人観光客の姿が目立つ最近の銀座だが、アルマーニ制服もそんな変化の表れなのだろうか。
「泰明小学校」という随筆では、母校の校名の由来について書いている。それによると泰明は「大明」と同義で、ひとりひとりが星の輝きのような人物となることを表すという。「人は心を磨くべし/思えば暗き闇に照る/み空の星は吾等の鑑」という校歌も紹介している。
明治の人づくり、教育にかけた大望、スケールの大きさが表れた校歌だ。そんな伝統こそ誇りにすべきではないか。