「予防という名の人体実験」。今月2日から…


 「予防という名の人体実験」。今月2日から始まった小紙第1面の連載タイトルはインパクトが強いが、連載の内容はいくつかの地方自治体の議会論議や医学・医療関連のシンポジウムを丹念に足で取材して分かりやすく問題提起している。アカデミックなルポを読む感じもするほど。

 テーマは重篤な副反応被害の問題化で今年6月から、定期接種の勧奨が一時中断されている子宮頸(けい)がんワクチンの勧奨再開の動きと、その是非をめぐる知見、関係者の言動とその構図を解き明かしていて興味深い。

 例えば、14日付の連載11回目。原因も治療法も暗中模索する中で、海外の論文から、副反応の原因がワクチンに混入されている免疫増強剤(アジュバント)にあるとの指摘を紹介している。

 論文は「これで、被接種者の免疫体系を攻撃する自己免疫疾患が引き起こされる」とする一方で、「このアジュバントで生じる副反応の頻度は0・5%程度で、アジュバントなしのワクチンと同様の自己免疫疾患発症率しかない」とムニャムニャ。

 何かマッチポンプのようなのは、論文の依拠するデータ作成がワクチン会社の社員によるからだと言わなければならない。

 日本でも、身分を伏せた社員(当時)が東京女子医大講師の肩書で、ワクチンはがんを防ぎ医療費などを約12億円節減するとした論文を発表。ワクチン会社の「姿勢が改めて問われる」と読売新聞(12日付)が報じた。