「朝鮮通信使に関する記録」が国連教育科学…
「朝鮮通信使に関する記録」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に登録された。17~19世紀に江戸幕府の招きで韓半島から日本へ派遣された外交使節団に関する資料である。
派遣は12回に及び、資料には外交文書や旅程の記録、通信使と日本人がやりとりした詩や書画もある。韓国の民間団体とNPO法人朝鮮通信使縁地連絡協議会(縁地連、長崎県対馬市)が共同で登録を目指してきた。
登録への活動が始まったのは2012年だが、それ以前から日韓両団体で互いの文化の壁を乗り越える運動が繰り広げられてきた。その一つが07年に始まった「21世紀の朝鮮通信使日韓友情ウォーク」。
ソウルの景福宮前を出発した参加者が、通信使のたどった道を50日かけて歩く。ゴールは東京の日比谷公園で、全行程1158㌔。一部区間だけの参加者もいるが、歩くことで友情を育んできた。
ウォークはゆかりの自治体との貴重な交流の機会。13年5月、到着した一行を雨の日比谷公園で取材した。汗まみれの遠藤靖夫「友情ウォークの会」会長は「両国の関係者に支えられて、みんなが兄弟のようになってゴールしました」と宣言。
埼玉県川越市では05年から毎年11月に朝鮮通信使パレードが行われている。17世紀末、氷川例祭に通信使の仮装行列が登場するようになり、絵巻に残されてきた。日韓関係は今、ぎくしゃくしているが、争わずに助け合った歴史に思いをはせ、現代に生かしたい。