選挙に勝つためなら何でもあり――とばかりに…
選挙に勝つためなら何でもあり――とばかりに、沈みかかったドロ舟から脱出を図ったのはひとまず分かる。その収容先が運営に当たっての原則やルールを設け、厳守を求めるのは当たり前のことだ。団体運営のイロハで、政党も例外ではない。
今月10日の総選挙公示を前に、小池百合子東京都知事が代表に就いた新党「希望の党」に、民進党が党ぐるみで駆け込み、看板書き換えを図ろうとした目論見はとりあえず潰(つぶ)れた。新党の公認は全員ではなく、理念や政策が違う左派系の枝野幸男民進党代表代行らは「立憲民主党」を結成することに。
小池氏が憲法改正への支持や安全保障関連法の容認など8項目の原則に同意する協定書への署名を条件とするなど、民進左派が潜り込むのを阻止したことは賢明な対処と言えよう。一時は混迷しかかった総選挙の構図がこれで鮮明になり、有権者にも分かりやすくなった。
衆院選は保守系与党の自民、公明両党、同じ保守系の希望の党と日本維新の会、立憲民主党と共産党、社民党の3極が争う構図となってきた。
日本の民主政治が健全に成長するには、保守系の二大政党制による切磋琢磨(せっさたくま)が望ましいと言われて久しいが、東西冷戦が決着しても、日本では「革新」を纏(まと)う左派が幅を利かせて「保革対決」を演出してきた。
もう一つの保守が育たなかったのは不幸だったが、今回の選挙が保守の二大政党制への足掛かりをつかむかも。