爆買いなどの「モノ消費」から体験型の「コト消費」…
爆買いなどの「モノ消費」から体験型の「コト消費」へ――。好調な外国人の訪日(インバウンド)を伸ばすカギと言われる。総合商社の双日は「釣り」を通じて東北地方の豊かな自然を体験してもらうツアーを6月から始める。
釣りを目的に来日する外国人は皆無ではないだろうが、釣る対象によって釣り方は異なる。観光に来たついでにというわけにはいかない。道具、餌から、時期ごとに適当な釣り場などについての案内役が必要だ。
仙台市の管理釣り場での渓流釣りや福島県の湖でのワカサギ釣り、山形県の海洋釣り堀などを予定しているというから、釣果は間違いないだろう。釣った魚は調理して食べてもらうので、日本の自然の魅力を舌でも味わえる。
釣り以外にもさまざまな体験型ツアーがある。小紙の本年元旦付の観光特集では、コスプレ体験や忍者体験などを取り上げている。
黒い忍者装束に身を固め手裏剣や忍者刀を手にした外国人女性が、記念撮影に興じているそのポーズもなかなか決まっていた。外国人には忍者や侍に神秘的な奥深さを感じる人が少なくない。
有名な観光スポットを訪ね、グルメに舌鼓を打ち、余裕があれば観劇なども楽しむ。これが普通の観光だろう。しかし、そういう通り一遍の観光より、訪れた土地の人々と交わした会話などが不思議と心に残る。生きのいい日本の魚の手応えは、訪日客にとって忘れられない思い出になるだろう。