かつてのお国自慢には、地方に立地する大学や…


 かつてのお国自慢には、地方に立地する大学や学部についてのものがあった。特に教育学部や工学部のうちに、伝統と権威のあるものが少なくなく、全国的に知られていた。それが過疎化の影響で今日、学部自体がなくなったところさえある。

 地方大学や学部の行方が憂慮される。大筋で了承された政府有識者会議の「地方創生に資する大学改革に向けた中間報告」では「学術研究面でも、実践教育面でも、中途半端な大学が多いのではないか」と分析している。

 そして「地方のニーズを踏まえた組織改革等を加速し、それぞれの特長や強みをさらに強化」し「産学官連携による地方創生に向けた取り組み」を進めるとしている。

 しかし、いわゆる「平成の大学改革」や10年ほど前、経済産業省による「都市圏の研究者のUターン転職支援」が始まった時にも同じようなことが言われたが、実質が伴わなかった。今回、その反省も踏まえたものだが、行うは難し、の局面をにじませている。

 地方大学が生き残るには、その地域になくてはならない存在になることが必要だ。ところが地方では、大学と企業、また大学間で教授や研究員の交流が少なく、大学の閉鎖性や硬直性を招き、ひいては大学教育の魅力を損なっている。

 必ずしもUターンではなくても、現役引退した教授や研究者の地元招請を強く推し進めてはどうか。当人たちも、故郷への奉仕は願ってもないことだと思う。