北海道と本州を結ぶ北海道新幹線(新青森…
北海道と本州を結ぶ北海道新幹線(新青森-新函館北斗、約149㌔)が開業から1年を迎えた。新函館北斗駅が函館市中心街から離れている上、札幌への延伸が2030年度末の予定であるため、当初は「マイナスイメージが先行している」とも言われた。
しかし開業後、今年2月末までの新幹線の乗客数は約220万人。平均乗車率は33%となり、開業前の予想26%を上回る結果に。「1年目は物珍しさがあったのでは」と見る向きもあるが、関係者らは手応えを感じているのではなかろうか。
観光客の増加で、地元は「函館や周辺への経済効果は間違いなくあった」(日銀函館支店長)と。今後、函館から道内各地への観光客誘致に向け「交通整備や観光資源の魅力向上が必要」(同)と指摘している。
人は良いものがあれば足を運んで自分の目で確かめようとする。その移動には交通機関が必要だし、行き来があれば飲食や宿泊のサービスが生まれ、そのにぎわいが周辺にも影響を与えて地域活性化につながる。
一方、課題も少なくない。北海道新幹線は寒冷地での高速走行のほか、在来線との共用や海底の青函トンネル走行など、他の新幹線とは異なる特殊な環境下で運用されている。この1年で、青函トンネル内で4回緊急停止した。海底でトラブルが生じれば、重大事故につながりかねない。
利用客を増やすには、安全対策の強化も不可欠だ。北海道新幹線の2年目の挑戦、奮闘を見守りたい。