「東京駅を背景にゴールを突き抜ける選手の…


 「東京駅を背景にゴールを突き抜ける選手の姿が世界に向けて発信されると、東京としても大きなPRになる」(小池百合子都知事)。昨日の小紙などほとんどの新聞1面には、3万6000人が都心を駆け抜けた東京マラソンのゴール写真が掲載された。

 世界最高峰「ワールド・マラソン・メジャーズ」シリーズの大会となって5年目。11回目の今回から、スタートは東京都庁前(新宿区)と同じだが、ゴールが東京駅前・行幸通りの新コースとなった。

 レース後半に海風とアップダウンのあるコースから平坦(へいたん)なコースに改めた。高速レースで記録を狙えるようにしたもくろみの一つは当たり、男女ともケニア選手が国内最高記録で優勝を飾った。

 もう一つは、外国人や市民ランナーが近代的な高層ビルや江戸情緒が残る街並みや風景を楽しんで走れるコース設定そのものが「おもてなし」となったこと。

 市民ランナーらは新宿副都心から、日本橋、浅草寺雷門、東京スカイツリー、富岡八幡宮、銀座、東京タワーなど観光名所の魅力を存分に味わいながら早春の都心を駆け抜けた。

 ゴールの東京駅は5年前に、大正3(1914)年開業当時のままに復元された。二つのドームを持つ赤レンガ駅舎は、歴史を刻む荘厳さを醸し出す。当時の鉄道院総裁の後藤新平は設計者に「世間をあっと驚かせる建物を」と注文したが、今は美しく落ち着いた存在感でランナーを迎えたのである。