「もはや一刻の猶予も許されない。被害者と…
「もはや一刻の猶予も許されない。被害者と家族の忍耐は既に限界を超えている」。被害者とその家族に高齢化が容赦なく襲い掛かっていて、その悲痛な叫びに応えられない無力に胸が痛む。
北朝鮮による拉致被害者家族会(飯塚繁雄代表)と支援団体の「救う会」(西岡力会長)が救出運動についての方針を打ち出した合同会議の席に、横田めぐみさん(拉致当時13歳)の両親、滋さん(84)と早紀江さん(81)の姿はなかった。
体調不良などで苦渋の欠席だという。家族会の結成から20年、めぐみさんの拉致からは40年の歳月が過ぎたのである。
「今年中に」と初めて時期を限定して政府に拉致被害者の救出を要望した方針では、北朝鮮から具体的な対応を引き出す実質的協議を最優先するよう求めた。そのために全被害者を帰す「見返り」に制裁解除や、被害者が帰国後に反北朝鮮運動の先頭に立たない約束などを提案した。
そこには政府にあらゆる策を突き詰めて行い、何が何でも被害者の奪還を図ってほしいと願う家族の切なる思いが込められている。もちろん、残留日本人、日本人妻、日本人遺骨など北朝鮮が仕掛ける人道問題の先行協議などは論外だ。
朝鮮学校補助金停止や朝鮮大学校認可取り消しを世論に訴え、トランプ米政権に北朝鮮のテロ支援国家再指定を求めるなど、被害者救出のため内外から、あらゆる手だてを尽くすとする新運動方針は国民とともにある。