安倍晋三首相とトランプ米大統領の日米首脳…


 安倍晋三首相とトランプ米大統領の日米首脳会談が行われた11日(米国時間10日)は、今年最大の寒波の影響で、昼間でもコートを突き抜ける寒風が吹く日だった。そんな寒さのこたえる中で、小田急小田原線の本厚木駅(神奈川県)前では、首から下げたヒモにつないだ署名板を手で持った人たちが署名活動を行っていた。

 板を持つ人はこの種の活動でよく見掛ける若者のグループではなく、多くが活動に慣れなさを感じさせる腰の曲がりかかった老人たちであった。北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)のメンバーらだ。

 トランプ大統領が安倍首相を「トリメンダス」(途方もない)な大歓迎ぶりで迎えた日米首脳会談は、日米同盟を重視した共同声明で日米蜜月時代を強く印象付けた。安全保障では米国の沖縄県・尖閣諸島に対する防衛義務確認や核による日本防衛関与を明記した。

 経済関係では両国ナンバー2らによる分野横断的な経済対話を創設。相互関係を一層強化していくことを確認し、新時代入りする日米関係の展望を示した。予測不能なトランプ氏の出方が懸念された会談だが、まずは好ましい滑り出しである。

 もう一つ、北朝鮮問題では核やミサイル問題に隠れて、拉致問題が埋没する懸念も払拭(ふっしょく)された。共同声明に核問題などとともに「拉致問題の早期解決の重要性」が明記されたことは大きい。

 寒風下での訴えはトランプ氏に届いている。