「月冴ゆるばかりに出でて仰ぎけり」(高浜年尾)…
「月冴ゆるばかりに出でて仰ぎけり」(高浜年尾)。寒さが一段と身に染みる時期となった。歳時記には、この時期の季語として「凍る」「冴ゆる」「悴(かじか)む」「霜焼」などが並ぶ。
「雪見」「雪掻(ゆきかき)」「雪卸(ゆきおろし)」など雪に関する季語も多い。見ていると、雪景色が目に浮かぶようだ。
大学入試センター試験が始まったが、日本列島はこの冬一番の強い寒気に覆われ、東北地方や日本海側を中心に各地で大雪となった。このため、一部の試験会場では開始時刻が繰り下げられたという。東京都心でも降雪が観測された。
稲畑汀子編『ホトトギス新歳時記』には、雪について「水蒸気を多量に含んだ空気が上昇し、上空で冷却され、昇華され、結晶となり、雪となって降ってくる。雪の結晶は六角形に凍るので六花(むつのはな)ともいう」とある。
雪の研究で知られた物理学者の中谷宇吉郎は「雪は天から送られた手紙である」という有名な言葉を残している。科学者である中谷が、詩的とも言える表現をするのは不思議にも思えるが、それほど自然現象である雪が美しく神秘的に感じられたのだろう。
試験というと、誰でもそうだろうが、気流子にもいろいろと思い出がある。今でも時折、夢に見るほどだが、開始時刻に遅れたとか、難問に焦ったとか、あまりいい夢ではない。それほど当時は緊張したのだろう。緊張し過ぎても良くないので、受験生の皆さんにはリラックスして日頃の実力を遺憾なく発揮してもらいたい。