逮捕された俳優でタレントの高畑裕太容疑者…


 逮捕された俳優でタレントの高畑裕太容疑者(22歳)について、男女を問わずなれなれしく接する人物だった、と伝えられている。先輩芸能人に対する接し方など、芸能界の上下関係や序列についての認識が欠けていたようだ。

 「対人距離」という言葉がある。他人との距離について「ここまでだったら許せる、それよりも近くなれば不快」という基準で、個人差はあるものの、大方の相場は決まっている。高畑容疑者は、その基準から大きく外れていたのだろう。

 犯罪に結び付くかは別として、その種のタイプはそれほど珍しくはない。物理的には1㍍離れていても、実感では30㌢ぐらいの近さにいるように思われる人間は実際にいる。対人距離30㌢は「密接距離」と言われる。うっとうしい近さだ。

 芸能界に限らず、上下関係のない社会は歴史上存在したことがない。親しみやすいことは必要だが、なれなれしいと思われては逆効果だ。その塩梅(あんばい)は一瞬一瞬変わる場合もあるから、案外面倒なケースもありそうだ。

 個人差とともに、文化や歴史の問題でもある。東京と大阪の対人距離を調査したデータによれば、東京は遠く、大阪は近い。実感と符合している。

 文化の違いだから、仕方のない面もある。個人による違いも、それが個性というものなのだから、容易には変わらない。その時その時の対人距離がどの程度のものか、状況を踏まえた上での見極めも必要だ。