今世紀初頭から既に国連機関などが強く警告…


 今世紀初頭から既に国連機関などが強く警告しているが、世界の人口増に伴う水不足は深刻だ。とりわけアフリカ諸国では、それが広範囲にわたり現実的なものになっている。

 今回、安倍晋三首相が出席した「第6回アフリカ開発会議(TICAD)」が開かれたケニアでは干ばつ被害が多く、農業用水の渇水が頻発している。また、同国の中都市は工業化が進み人口が集中。その結果、飲料水や工業用水が不足し、汚染されている。

 一事が万事、他のアフリカ諸国も工業化が進み、人々が農村から都市に流出している。都市化傾向は今後も急速に進み、水問題を含む環境悪化は死活的な問題になりかねない。

 これに対し、欧米、中国などは水質浄化、汚染水処理の分野でインフラ整備を支援する姿勢を見せているものの、実際は自国の汚染水対策にすら手を焼いている国が少なくない。中国などは自国の飲料水需要を満たすこともままならない。

 幸い、日本は海水の淡水化や排水浄化の技術で世界のトップレベル、民間企業の海外実績もある。アフリカの都市で水やエネルギーを有効利用する仕組みを先駆けて提案し、企画していけば同分野でリーダーシップを取ることができる。

 アフリカ支援策として、安倍首相は民間企業と協力し、インフラ整備だけでなく並行して人材育成も目指すことを明らかにした。その中に水対策、感染症対策などもあり、正鵠(せいこく)を射ている。