街や電車の中で、黒のリクルートスーツに身を…
街や電車の中で、黒のリクルートスーツに身を包んだ若い人をよく見掛けるようになった。大学生に対する企業の選考活動が昨年より2カ月早まり、いまや就活真っ盛りである。
中央アジアのウズベキスタンを取材した際、通訳を務めてくれたウズベク人が留学のために初来日した。お土産に干しぶどうを貰った。日本の印象などを聴いている時、なぜ黒いスーツを着た若い女性が多いのかと尋ねられたので、事情を説明した。
反対に、お国の就職事情を尋ねたところ、最近厳しくなっているという。曰く「大学を卒業したのに、バザールで干しぶどうを売っている人がいます」。
その最大の理由は、ウズベク人労働者の最大の出稼ぎ先であったロシアでの雇用が厳しくなったことだという。クリミア併合に対する制裁は、ロシア経済にかなりのダメージとなっているようだ。
大学生の就職難は、お隣の韓国でもっと深刻だ。昨年は56%で「大学は出たけれど」の状態が続いている。幸い日本は、今年3月に卒業した大学生の就職率が、4月1日の時点で97・3%と過去最高だった。
安倍晋三首相が消費増税の2年半延期を決めたことに、民進党などは「アベノミクスの破綻だ」と批判している。しかし、大卒の就職率が高まったことは、アベノミクス評価の大きな判断材料の一つだ。国の未来を担う若者たちに働き口がないことほど、社会を暗くするものはない。