「右、左、右と周りをよく見て、手を上げて…


 「右、左、右と周りをよく見て、手を上げて横断歩道を渡ってください」。春の全国交通安全運動初日の6日に、高橋清孝警視総監は東京・新宿区立四谷小学校の新1年生と手をつなぎ、もう一方の手を上げて近くの横断歩道の渡り方を指導した。

 今年は<正しいルールで交通安全 笑顔はマナーとやさしさから>を標語に、全国で「子供と高齢者の交通事故防止」キャンペーンが行われる。15日まで。

 都内では昨年の交通事故死者数は戦後最少の161人で、人口10万人当たりでは1・2人。全国で最も少ない記録となった。また交通事故で死亡した小学生は3人であったが、今年は2月に2人、3月に1人とすでに3人がトラックやバスの事故で亡くなっている。

 飲酒運転事故の方も目立っている。なかでも先月23日午前2時前に世田谷区の国道246号で起きた事故では、飲酒運転が絡む悪質さに驚く。

 パトカーに追跡されていた乗用車にぶつけられたタクシー運転手が死亡し、巻き込まれた車などに乗っていた男女5人が骨折など重軽傷を負った。現行犯逮捕された衝突した車の男(20)は、呼気から酒気帯び運転の基準値を超えるアルコールが検出されたのである。

 殺人にも等しい愚行に対しては、改めて厳罰を求めるほかない。そして、何としても根絶を図りたい。3月末までの全国の交通死者は昨年同期比41人減の931人である。