スキーツアーバスの転落大事故で亡くなった…


 スキーツアーバスの転落大事故で亡くなった乗客12人は、全員が19歳から22歳までの学生である。就職や留学が決まったこと、将来の希望や夢などを語った一人ひとりの笑顔の写真を掲載した記事をながめていると、いたたまれない沈痛な気持ちになってくる。

 未来に無限の可能性を持った人たちばかり。なぜ、その未来が一瞬にして閉ざされねばならないのか。長野・軽井沢の国道での15日未明の事故からきょうで5日目。

 基準額を下回る料金での運行、運転手の過労運転、健康診断や適性診断の未実施、乗務員台帳の未作成などの書類不備、出発前点呼せず――などなどバス運行会社の違反まみれの実態が明らかになってきた。

 乗客の命を預かるバス運行会社の体を成していない余りに杜撰な安全管理に、ただ唖然とするばかりである。乗客は危険な会社を判断する術を持たない。ツアー企画会社はバス会社の安全運行をチェックしたのか。

 事業者を監査する国土交通省が、はたして安全管理指導を適切に行っていたのかまで徹底してチェックし、総合的な再発防止を図る必要があろう。

 もう一つは、若者たちがシートベルトをしていたら、と悔やまれることだ。犠牲者の大半はシートベルトを着用していなかったとみられる。自動車の後部座席でのシートベルト不着用者の事故での死者数は、着用者の約3倍に上る。このことを改めて考えてみたい。