東京駅の丸の内口前では、広場の大規模な工事が…
東京駅の丸の内口前では、広場の大規模な工事が進んでいる。その一角に立ち、皇居のお堀の方に目を向けると、高層ビルが立ちはだかり圧倒される。
かつて東京駅前の景観を形づくった改築前の丸の内ビル、新丸の内ビルは堅固な8階建ての建物で、その向こうに青空の広がりがあってゆったりした感じだった。それが様変わりし、大型商業施設に出入りする人たちでにぎわう街となった。
東京駅周辺の開発はさらに進む予定で、三菱地所は日本橋口前の常盤橋地区に高さ約390メートルの超高層ビルを建設すると発表した。金融機関などが集まるビジネス街の中心として整備し、観光の機能も充実させるという。
全体の事業費は1兆円超の見通しで、政府認可を前提に2023年度着工、27年度の完成を見込んでいる。同社の杉山博孝社長は「世界に負けない東京のシンボルとしたい」と意気込む。
東京の都市開発と言えば、関東大震災直後の復興の大計画があった。前回の東京五輪時の工事も思い出す。ただし震災後の計画は頓挫し、五輪時の開発は、爆発的に増えた車両の流れをさばくための道路行政の範囲だったように思う。
一事が万事、東京は特段の都市計画を持たず、部分的開発を繰り返してきたが、それでも都市機能の役割分担とその調和がかろうじて保たれてきた。「世界に負けない――」より、日本らしさの追求が都市開発に必要だ。