自閉症の人は方言を話すことが苦手、との…


 自閉症の人は方言を話すことが苦手、との研究結果が弘前大学教育学部の松本敏治教授によって明らかにされた。自閉症の人は津軽弁が苦手なので、共通語を使う。十分に解明されたわけではないが、社会性の発達障害である自閉症の人にとって使いにくい独特のニュアンスがあるのだろう。

 最近は「標準語」と言うことが少なくなった。代わりに「共通語」という言葉が使われるようになった。方言の反対語が「標準語→共通語」へと移行しつつある流れがあるようだ。

 加えて、共通語自体もことさら意識されることが少なくなって、その分、方言の価値が見直されるようになった。共通語に対して、方言を「恥ずかしい」と感じることも当然少なくなった。

 昔、沖縄などでは「方言札」というものがあって、学校教育の場などでは、方言を使うと札を首からぶら下げさせられたとも聞く。沖縄方言の禁止は、いずれ内地の学校や職場へ行く子供たちが、言葉のギャップで苦労しないようにとの親心の表れだった、という説もある。

 方言は「関西弁」や「津軽弁」のように「××弁」と呼ばれることが多い。しかし、今年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の字幕では「長州弁」ではなく「長州ことば」となっている。

 「××弁」という用法に、共通語を頂点とする「上から目線」を敏感に感じ取ったのかもしれない。これも、比較的最近になって表れた変化の一例だ。