「菜畠に残る暑さや瓜の苗」(許六)。…


 「菜畠に残る暑さや瓜の苗」(許六)。朝夕をセミの声が雨のように降り注ぐ。厳しい暑さが続くが、暦の上ではすでに秋。歳時記では8月の項目に「秋の蝉」「残暑」「秋めく」「新涼」など、秋に関する季語も少なくない 。

 台風の接近による大雨が各地に多大な被害を及ぼす中、お盆のために帰省の動きが加速する頃でもある。この時期は、毎年のように道路が混雑する。渋滞緩和策などが話題になるが、根本的な解決には至っていない 。

 渋滞する日を避ければいいのだが、日本の伝統的行事であるお盆ばかりはそうもいかない。そのお盆は、仏教の行事と日本の祖霊信仰が習合したと言われる。「お盆」という名も、霊への供物を置く盆に由来しているようだ 。

 気流子の子供の頃は、お盆に母方の実家に行くと、灯籠やナス、キュウリで作った馬や牛が飾ってあった。なぜ子供が作るような稚拙な馬や牛を飾るのか、どうしても理解できなかった。しかし、その理由をなぜか聞いてはいけないような印象を持ったことを覚えている 。

 調べてみると、キュウリが馬を、ナスが牛をかたどったものらしい。馬は祖霊が早く来られるため、牛は帰りにゆっくり移動するための乗り物として作られるのだという 。

 伝統行事には、何事にもそれなりの由来があることを改めて認識した次第。国民の多くが故郷へ帰り、祖先を祭る期間であるので、いつまでも大切にしたい。