全国の計50基の原発が全て止まり、…


 全国の計50基の原発が全て止まり、稼働中の原発がゼロとなってから1カ月がたとうとしているが、再稼働の時期が見えてこない。遺憾だ  再稼働には原子力規制委員会の安全審査を受け、活断層の有無などについて規制基準をクリアしなければならない。しかし、特に敦賀原発2号機をめぐって、規制委と事業者・日本原子力発電の折り合いが良くない。

 規制委は5月、2号機直下の破砕帯について活断層と評価。これに対し、原電は7月に活断層ではないとする報告書を提出した。しかし、論点整理のための規制委の会合が1度開かれたのみで、今のところ有識者会合が再開される見通しは立っていない。

 規制委の中で何が起こっているのか、気をもむばかりだ。工学博士、青柳榮氏は著書『活断層と原子力』(エネルギーフォーラム新書)で「同組織(規制委)の閉鎖性、孤立性」を問題視し「(委員に)行政の実務経験なき技術者、学者ばかりで大丈夫か」と、その人選の偏りによる弊害を指摘している。

 その一方で「さまざまな専門の視点から破砕帯の活動性、連動性について熟議を尽くしてほしい」と活断層論議についても注文を付けている。

 規制委は民主党政権時代に、それまでの原子力行政との決別という方針の下に生まれた。しかしそうであっても、電力の安定供給と原発の安全性向上の両立に十分配慮した行政機関であるべきだ。