わが国で大量消費・大量廃棄の現代型ライフ…
わが国で大量消費・大量廃棄の現代型ライフスタイルが定着した1980年代半ば、新聞紙上を賑わせた環境関連ニュースの一つに「コンクリート耐用年数20年説」があった。一般的に60年と言われていたが、ある学者らが、骨材に塩分を含んだ海砂の混合があり「20年」と主張した 。
もう一つはアスベスト(石綿)問題。スレート屋根や床タイルの建材、自動車のブレーキ摩擦材などに広く使われ、肺がん、悪性中皮腫の原因とされた石綿が微量ながら大気中に含まれることが、当時の環境庁の調べで明らかになった 。
今日、コンクリートの方は技術の進歩もあって20年説はどうやら消えたが、老朽化したインフラの補修などは緊急の課題だ 。
一方の石綿は健康に関わるため、よりデリケートな問題として環境行政の前に立ちはだかってきた。この間、環境省は石綿を扱っていた工場の従業員に健康被害が出た事案を受け、兵庫県尼崎市の一部住民の健康調査を実施してきた 。
その上で今度、石綿が原因となる疾患などの早期発見に向け、2015年度から「石綿検診」(仮称)のモデル事業を始める方針を決めた。市町村が実施している肺がん検診などと連携し、問診や検査を行うことを想定している 。
現在は製造・使用が全面的に禁止されているが、石綿による健康被害は、いわば高度経済成長のツケ。中長期的な行政の仕事として真価が問われる。