バラのシーズンの5月と10月になると、どっと人が…
バラのシーズンの5月と10月になると、どっと人が押し寄せ大変な賑わいになるという旧古河庭園(東京・西ケ原)を初めて巡った。浜離宮庭園、小石川後楽園などとともに都立文化財9庭園の一つ。シーズンオフでも、小高い丘の上に建つ英国貴族の邸宅にならった古典形式の洋館は、大正時代のムードを静かに醸し出す。
洋館の周り、武蔵野台地の高低ある地形を生かした庭は、丘から階段を下りていくとテラス式の洋風バラ庭園、そのずっと下の低地には庭園の大半を占める、自然そのままの風が心地よい日本庭園が広がる。
二つの庭園の間の中間斜面に位置するツツジ庭園が、上と下の東・西洋の庭園をつなぐ趣である。ここを訪れた先週の土曜日は、氷が解け出すころをいう「雨水」から3日目。
晴天に恵まれ、少し暖かで、ようやく春を感じさせる日和だった。「都立庭園 庭師の親方と庭さんぽ『親方と歩こう!』」との新聞ガイド欄の誘いに引かれたから。
いつもやっているイベントと思ったが、この日が初の試みだと。京都の庭師・植治(小川治兵衛)が作庭した名園。親方は、植治は大滝、心字池、枯滝(かれたき)、雪吊り、渓谷などを最も美しく見られるビューポイントを必ず示しているという。
「見晴らし場には、大きくて平たい石が埋めてあります。その上に立っての眺めが一番で、その石を役石と呼んでいます」と。視点を知っただけでも、来て見た甲斐があった。