市川海老蔵さんが2年ぶりで歌舞伎座に出演…
市川海老蔵さんが2年ぶりで歌舞伎座に出演している。新型コロナウイルスの感染拡大で昨年5月に予定されていた「十三代目市川團十郎白猿」の襲名公演が延期となったが、そんな試練を経て、また一回り大きくなって歌舞伎座に帰ってきた。
演目の「雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)」は、市川宗家の家の芸、歌舞伎十八番の「毛抜き」が見られる。海老蔵さんは5役早変わりを演じた。
コロナ禍の制約で通常より短くまとめた分、筋は分かりにくいが、成田屋独特の見得など様式美が堪能でき、何より荒事を得意とする江戸歌舞伎のスピリットが伝わってきた。
緊急事態宣言下ではあるが、それなりの入りだった。ざっと見たところ、客席には先月来た時と比べ白髪の人が多く、高齢者の姿が増えたように見える。きっとワクチン接種が終わって、ある程度安心して劇場へ足を運べるようになったのだろう。
気になるのは、十三代目團十郎襲名はどうなるのかということだ。襲名に際しては、亡くなった妻の小林麻央さんの忘れ形見、堀越勸玄君の市川新之助の襲名も同時にあるとみられる。
江戸歌舞伎の大名跡、市川團十郎と海老蔵には口上の時、「にらみ」という独特のパフォーマンスがある。不動明王の霊験によって邪が払われ、1年間無病息災で過ごせるというので「にらみ」は江戸っ子たちの大人気だったという。来年こそ、無事に十三代目團十郎襲名披露が行われることを祈りたい。