神奈川大学による全国高校生俳句大賞は23回…
神奈川大学による全国高校生俳句大賞は23回目を迎え、入選作品が『17音の青春 2021』(角川文化振興財団)として紹介されている。副題は「五七五で綴る高校生のメッセージ」。
応募校は過去最多の256校に上り、応募数は1万3839通。3句一組なので、句数はこの3倍になる。選考委員の宇多喜代子さんは、みな「巧(うま)い」と感心したという。選考委員たちの共通の感想だ。
「素振りあと百回風よ夏空へ」里舘園子さん、「散る桜バイクゆっくり流すとき」藤原幹伸さん、「電車来る風が葉葱を震わせる」滝本圭佑さん、「冷蔵庫異国の市の匂ひして」小林怜子さん、「教科書は線を引くだけ夏の空」坪田陽菜さん。
忘れ難い作品として宇多さんが挙げている。通読してみると、季節感が鮮やかで爽やか。新鮮な感性とユニークな視点が興味を引く。梅雨の句は1句だけで、高校生好みの季題ではないらしい。
先生たちの指導の熱心さもしのばれる。その場面を垣間見せてもらったことがあった。愛媛県の高校教師、櫛部天思さんが句集『天心』で2017年、俳人協会新人賞を受賞した時だ。俳句部の雰囲気が感じられた。
「俳句甲子園」全国大会で何度も優勝を遂げた熱血教師で、OB・OGも現役部員との句座を楽しんでくれるそうだ。「人を愛し、ふるさとを愛し、自然を愛する『天霊地魂を尊ぶ』精神」を伝えていくと櫛部さんはいう。生徒たちも心情豊かに育っていくのだろう。